令和3(2021)年度用 中学校数学 内容解説資料A
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周辺教材のご紹介80教科書の記述の背景にある,数学史,数学教育史など,数学をご指導される上で知っておいて また,各領域の指導内容の根底にある考え方や,今後の数学教育で重視されるポイント,評価規 ●朱註編(教科書縮刷版)教科書の各ページごとに,指導の要点や,注意点,問題の解答などを解説しています。※朱註編単体での販売も行っています。〈朱註編付録DVD-ROM〉データベースから問題を選択してプリントを簡単につくることができる「KeirinkanDB System」(Wordアドインソフト)を収録しています。教科書内の問題などのWordデータを収録しているので,教科書の問題をベースに,オリジナルの問題やプリントを作成することができます。●指導研究編各章ごとの目標・配当時間表,既習事項,章での学習内容や学習指導案など,指導計画を立てる上で必要な情報を集約しています。また,「自分から学ぼう編」について,編集趣旨や主体的な学びを実現するための使い方の一例などを解説しています。〈指導研究編付録DVD-ROM〉・指導計画作成用データ・教科書QRコンテンツ(一部)など指導書C977T_T_[150]EQ_見本組.smd Page 120/02/18 17:43 v3.503学びをいかそうの活用例学びをいかそうは,各章で学んだことがらを身のまわりの場面などで活用したり,学んだ数学をさらに深めたりする活動を通して,数学のよさや有用性を実感しながら,主体的に数学を学ぶ姿勢を育てることを目的としている。学びをいかそうでは,疑問や課題を生徒に投げかけたり,課題をもとに調べたことや学んだことをレポートという形で提示したりしている。学びをいかそうを活用して,疑問や課題の解決に向けて自分から進んで取り組んだり,さらに,疑問や課題から,新たな課題を生み出したりすることで,学びをさらに深め,ひろげていくこともできる。学びをいかそうは,1.追加の題材として活用する2.レポートの見本として活用する3.調べ学習,探究活動のテーマ例として活用するなど,いろいろな活用場面が考えられる。それぞれの場合の活用例について,これから紹介することにする。①追加の題材として活用する学習したことを利用して課題を解決したり,学んだ数学の内容をさらに深めたりすることで,数学のよさや有用性を実感することができる。教科書にある問題だけでなく,この学びをいかそうの題材を活用することで,身のまわりで数学が活用できることを知ったり,学んだ数学をさらに深めることができることを知ることで,数学のよさや有用性の実感をさらに高めていくことができるだろう。教科書での追加の題材として利用する場合には,これから取り組む課題を明確にしてから学習をはじめることが大切である。活用例1章何時に電話しようかな?27∼28正の数・負の数を使うことの有用性を実感する国際交流がさかんとなり,大学生が海外への留学や旅行をしたり,高校生が海外まで修学旅行に行ったりするなど,若い世代の人が海外の人と交流する機会が昔に比べて格段に増えてきた。高度情報化社会となり,各種メディアによる海外からの情報に日常的に触れる機会も多くなっている。海外にいる知り合いに,SNSのテレビ電話や電子メールを通して連絡し合いたいとき,お互いの生活時間帯を考慮して,日本時間の何時ごろに連絡すればよいのだろうか。このとき,2つの都市の間の時差を知る必要があり,時差は基本的には経度の差に依存しているため,ここにあるような地球の経度の内容を考えることになる。エミリーさん,ボブさん,けいたさんの3人による交信となると,3つの都市の間の時差を考えなければならず,さらに複雑な状況となる27。時差の間の計算には,正負の数の計算を用いることとなり,生活の中で正負の数を使う有用性を実感できるだろう。p.51にある仮平均の内容に続き,ここに紹介している時差の話題も追加題材として指導可能であろう。150Ⅲ.自分から学ぼう編を活用した指導C969T_T_[086-088]EQ_見本組.smd Page 320/02/13 10:14 v3.50教科書p.8888方程式とその解1 等式を成り立たせる文字の値について学びましょう。前ページの問題では,バスに乗る回数をx回とすると, 次の等式が成り立ちます。180x+480=1200 ……①①の式の文字xは,これから求めようとしているものです。このように,まだわかっていない数を表す 文字をふくむ等式を 方ほう程てい式しき といいます。方程式180x+480=1200まだわかって いない数問1 上の等式①の左辺180x+480で,xに4を 代入して,その式の値を求めなさい。前ページの説明しようで求めた4は,上の方程式①を 成り立たせるxの値になっています。4回以上乗るなら, 1日乗り放題 チケットを買おうこのように,方程式を成り立たせる文字の値を,その 方程式の 解かい といいます。また,その解を求めることを,方ほう程てい式しきを解とく といいます。ある値が方程式の解になっているかどうかは,次のようにして 確かめることができます。方程式2x-3=x+2で,5がこの方程式の解で あるかどうかを調べる。xに5を代入すると,左辺=2*5-3=7  右辺=5+2=7左辺と右辺が等しいので,5はこの方程式の解である。? xに1を代入すると どうなるかな。方程式の解例1問2 次の(ア)~(ウ)のうち,3が解である方程式をすべて選びなさい。(ア) x-8=5 (イ) 4x-7=5 (ウ) x+2=3x-45101520251方程式とその解ここでは,まず,方程式の中の文字と解の意味,方程式にかかわる用語について指導する。次に,操作活動を通して等式の性質を導き,その性質を使って簡単な方程式を解いていく。数量を文字で表現し,その式の意味を読むことは,前章で学んでいる。本章で,文字式のよさを少しずつ認識させていくような指導をする必要がある。問11200問23が解であるものは,,については,左辺=3−8=−5右辺=5左辺と右辺が等しくないので,3はこの方程式の解ではない。13が解である。ここで学ぶ方程式と関連して,小学校では,□を使った式の□にあてはまる数を求めることを学習している。□にあてはまる数をあてはめて探したり,逆算から求めたりしている。深く扱う必要はないが,授業の中で復習として扱う場面があってもよい。方程式と未知数方程式①に使った文字xについて,教科書ではこれから求めようとしているもので,まだわかっていない数,つまり,未知数という立場をとっている。厳密には,方程式は文字のとるべき数値を決定する条件を示す式で,その文字が特定の値をとるときに限って成り立つ等式である。そして,使った文字は,その値を求めようとするときに未知数となる。しかし,このような定義では,ここで初めて方程式を学ぶ生徒には意味がつかみづらい。また,この章の主な学習は,方程式の解き方やそれを身のまわりの問題に利用すること,つまり未知数を求めることである。ここでは,これから値を探っていく未知数を含む等式として方程式を理解させておき,方程式のほかの側面は,今後の学習を通して理解させていくことにする。方程式の解問1では,前ページので算数の考えによって求めた4が,方程式①を成り立たせる文字の値(解)であることを確認している。つまり,p.87の問題の答えとなる値は,それを文字で置きかえてつくった方程式を成り立たせる値である。この関係をしっかりと理解させておきたい。ここから先の学習では,方程式の解を,式変形によって手際よく求める方法を学んでいくことになる。ある程度学習が進んだところでこの場面をふりかえり,算数の考えによらずに形式的な式変形で解が求められるようになる方程式のよさを確認させたい。例1実際に方程式を解いていく段階で,検算を指導する際には,この例1をふりかえるとよい。88通 論詳 説第1部第2部

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