地球は太陽系の一部であり,わたしたち生命は地球の一部です。地球や生命の誕たん生じょうのようすを知るには,太陽系をつくった物質が何で,どんな歴史をたどったかを探たん究きゅうする必要があります。地球の表面は,地ち殻かく変動や火山活動が活発であり,たえず変化しています。そのため,現在の地球の表面をさがしても,太陽系の材料や過去の宇う宙ちゅう環かん境きょうの情報は見つかりません。一方,ほとんど表面に変化がない小惑星やすい星の物質や構造を調べることによって,太陽系の材料がどのような歴史を経ることで地球の環境が特とく徴ちょうづけられ,海水や生命をつくる材料がもたらされたのかについて,手がかりが得られると期待されています。人類が小惑星の存そん在ざいを知ったのは,望遠鏡を使った天文観測で小惑星ケレスが発見された1801年です。しかし,地上で見つかるいん石の多くが小惑星のかけらであると示されたのは,それから200年以上たった2010年に,日本の探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から宇宙塵を地球に持ち帰ってからでした。惑わく星せいが失った情報をとどめる小惑星望遠鏡から探たん査さ機き,顕けん微び鏡きょうへ大きさをこえてさぐる太たい陽よう系けいの歴史わたしたちは星のかけらから生まれた?探たん査さ機きはやぶさは,最高速度秒速30 km以上で,約3億km離はなれた小惑星に到とう達たつした。これは,日本からブラジルにある数cmの的をねらうのと同じことになる。イトカワとリュウグウの軌き道どうイトカワ水星太陽金星火星地球リュウグウ上じょう昇しょうする探たん査さ機きから見下したリュウグウ(実物)探査機「はやぶさ2」とリュウグウ(想像図)宇宙を観る1005101520110010mmmµmkm1100101100101探査機からの遠隔観測探査車・着陸機による観測サンプルの分析ぶんせきえんかく2020年には,後こう継けい機き「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から,表面と地下の物質を持ち帰ります。天体観測と探査機で得られた発見に,宇宙塵じんを顕微鏡で分ぶん析せきした結果をかさね合わせることで,近い将しょう来らい,わたしたちは星のかけらから生まれたといえるようになるかもしれません。極大と極小の世界を重ね合わせて小惑星「リュウグウ」はどんな星でしたか? そろばんの珠たまの形をしたリュウグウは,生命の材料を多くふくむために真っ黒に見えると考えられます。表面は大小さまざまな岩石でおおわれており,はやぶさ2を安全に着陸させるには,探査機1つ分のずれも許されないほどでした。宇宙探査とはどのような仕事ですか?未知・未み踏とうの天体に探査機を送りこみ,その場の自然を理解したり,地球をこえた人類の活動範はん囲いを広げていく営みです。具体的には,独自の観測機器を発明したり,探査機を目的通りに操そう縦じゅうしたり,科学的発見を論ろん文ぶんとして世の中に報告したりしています。わたしたちの挑ちょう戦せんを待つ天体は?過去には空想科学小説でしか語れなかった「地球外生命」が存在できる環境を,今や世界中の科学者がさがしはじめています。特に木星や土星には天体内部に海を持つ衛えい星せいが発見されており,海洋天体での生命探たん索さくこそが,みなさんが大人になった未来の宇宙探査が果たす使命の1つだと思います。これからの太陽系探査はやぶさカプセルをオーストラリアで回かい収しゅうした矢や野の創はじめ博はかせ士(JAXA)異ことなる大きさを観察する探査技術のちがいはやぶさが持ち帰ったイトカワの微粒子の電子顕微鏡画像約20 kmの距きょ離りから真っ黒に見えるリュウグウ(実物)探査車が見たリュウグウ表面(実物)0.02 mm101地球ひろがる世界51015弾性力で地震のゆれを伝えにくくするp.100~1013年p.2461年科学で災害に備えよう!る弾性力防災・減災はやぶさカプセルをオーストラリアで回かい収しゅうした矢や野の創はじめ博はかせ士(JAXA)これからの太陽系探査将来の職業をさがしてみよう!p.1013年免震ゴムが使われている建物この建物は62個の免震ゴムの上にのっている。大おお阪さか市中央公会堂(大阪府)免震ゴム単元の最後に,学習した内容を社会や未来にひろげる読み物を掲載しています。学びを社会や未来へひろげる終章2ポイント宇宙キャリア教育19特 徴2
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