指導書のご紹介p.8724地球探実習のサポート金星の見え方の変化探究的な学習を進めるためのポイント探実習では,金星が月と同様に太陽に照らされて見えていることを想起させながら,金星,太陽,地球の位置関係と関連づけることが重要である。生徒は,金星の公転軌道が地球の公転軌道の内側にあることを学習しているので,これらの位置関係をモデルで表すことについては立案できると考える。なお,モデル作成において,金星が光っている向きが太陽側であることや,地球の位置(観測者の視点)が公転面であることなどは,生徒は活動を進めながら気づき,修正することもあろう。試行錯誤を重ねながら,より妥当なモデルへと改良していくことも,探究的な学習を進めるポイントとなる。探究の展開と指導【課題の把握】生徒は,これまでの金星の観測結果や資料などから,金星の形の変化について,月の満ち欠けと同じしくみだろうと考えている。一方,月は地球のまわりを公転するが,金星は太陽をまわる公転軌道であり,それぞれ異なっているのに,どちらも満ち欠けをすることについて疑問を持つ生徒もいる。また,夜空に見える天体はすべて「点」で輝いているのに,望遠鏡で観測すると見かけの大きさが変化することについても疑問をもつであろう。このような疑問を引き出しながら,なぜ金星は見える形や大きさが変化するのかについて,課題を設定させたい。【課題の追究】①仮説:課題「金星の見える形や大きさが変化するのはどうしてだろうか。」について,金星が地球よりも公転軌道が内側にあり,地球と金星の距離が変化することや,月が地球との位置関係によって満ち欠けすることなど,既習事項から仮説を立てさせるようにしたい。②計画:課題を解決する方法として,長期間,金星を観測することは難しく,また,得られる結果も見かけの形と大きさだけの情報のみである。したがって,課題を時間的・空間的に解決できる方法の例として,金星,地球,太陽の位置関係を表すモデル実習を計画・実施させたい。モデルについては,まず,金星,太陽,地球それぞれの模型を,太陽を中心とした公転軌道上に配置し,)金星が満ち欠けをすること,)金星の大きさが変化すること,の点について考えさせたい。そのとき,金星のモデルとして使う球の半面を塗ったり,観察者の視点を固定したりするなど,生徒が活動を通して気づきや試行錯誤をしながら,探究的にモデルが作成できるよう促したい。③結果:金星,太陽,地球について,それぞれの位置と,金星の見える形や大きさとの関係を,図と言葉で探シートやノート等に整理させる巻末地球25シート探ラボ探教科書の探シートでは,結果を自由記述式にしている。観測者の視点を明確にしたい場合は,に収録したワードデータに金星の軌道を加筆するなど加工するとよい。地球から金星を見たときの見かけの形と大きさを,金星が太陽に照らされている部分に注目し,作図によって投影する方法である。教科書の図,を参考に記述させるとよい。かきこみ例p.26かきこみ例p.28ようにしたい。特にここでは,金星の公転軌道などを用いた図を活用させることが,課題解決に向けて空間的に把握する上で重要になる。【課題の解決】モデルを用いた観察結果より,金星,太陽,地球の位置と,金星の見える形や大きさを関連づけて考察し,図と言葉で表現をさせる。このとき,班相互に交流を行い,各班の判断の妥当性を検討させるなど,探究活動をふり返る機会を設定する。なお,地球の公転による移動に気づいていたり,モデルの縮尺が正確ではないことを指摘したりする生徒がいれば,モデルでの説明に限界があることを知らせるとともに,次の学習に深めることができるので,ぜひ共有しておきたい。【探究のふり返り】探究の過程をふり返り,感想や自己評価,新たな疑問などをあげさせる。「がんばった」「まじめにできた」などの行動面の評価だけで終わるのではなく,どんなことが理解できて,どんなことが理解できなかったなどの思考面の自己評価も必要である。また,実習の結果から,自分たちが考えた計画が妥当であったかを,仮説と比較して見直すことも肝要である。例えば,金星の満ち欠けが公転面に対して垂直にならず,斜めに満ち欠けをした結果を記録している班については,金星の形の変化について特徴は把握しているものの,地球から見たときの金星に太陽光が当たっている部分と金星の形が関連づけられて理解されていない可能性もある。一方,今回のように地球を固定したモデルは,地球の公転が考慮されていないのではないかと指摘する生徒もいる。このような気づきは,天球上で惑星が複雑な動きをすることと関連づけたい大切な気づきである。また,モデルが実際の縮尺を反映していないことに気づいている生徒には,のシミュレーションソフトを用いるなど,空間的な広がりの中で学習を発展できるようにしたい。「探Qサポート編」1年p.16に,観察2の探Qシートを掲載しています。観察花のつくりけが注意強い光注意観察のねらいいろいろな花のつくりの観察を通して,それぞれの花のつくりを理解させる。花の種類による,各部分の形や数,つき方の特徴(違い)を知るとともに,どの花にも共通する点を見いださせる。子房の中に胚珠があることを気づかせ,植物における花の役割に気づかせる。双眼実体顕微鏡やルーペの操作を習熟させる。準備物アブラナ,ツツジ,エンドウなどの花(ここでは双子葉類にしぼっている。)器具双眼実体顕微鏡,ルーペ,ピンセット,カッターナイフ,カッターマット,セロハンテープ,台紙準備上の留意点教科書本冊で例に示した植物の代替材料として,以下のものを用いることもできる。・アブラナ→セイヨウカラシナ,ハボタン,ダイコン・エンドウ→カラスノエンドウ,スイートピー,フジ,ハリエンジュ(ニセアカシア)・ツツジ→サツキ観察上の留意点方法1分解する前に,各部分を確認させる。余裕があれば,花の全体像をスケッチしてから分解を始めるとよい。めしべについては,形態的におしべと同じイメージで捉えていて,子房の部分を取り除いて方法3花を構成している各部分の数や,特徴的なことがらについてもメモさせる。方法4子房の中に胚珠があることを観察させることが目的であるが,観察材料の花の数に余裕がある場合は,子房を縦に切ったり,横に切ったりさせると,内部の構造について立体的なイメージをもたせることができる。注意事項カッターナイフの取り扱いについては,事前に丁寧に指導し,けがのないよう十分注意させる。また,机の上に直接試料を置いて切断しないように指導する。結果結果1花は基本的に,がく,花弁,おしべ,教科書p.19所要時間50分 生命指導のポイント活動のポイント・生物カードを切り取って,実際に操作をしながら,なかま分けを行うとよい。・付せんなどに書くと便利である。探Qシートのかきこみ例 生命12 生命13DVDに掲載別法オオカナダモを使った光合成の実験保護目的植物が光合成によって二酸化炭素をとり入れていることを確かめる。準備物オオカナダモ,うすいBTB溶液,試験管(2),試験管立て,ゴム栓ビーカー,保護眼鏡方法1青色のBTB溶液に息をふきこんで黄緑色にし,その液を2本の試2一方の試験管にはオオカナダモを入れ,もう一方の試験管には何をする。32本の試験管を直射日光の当たるところに置き,BTB溶液の色のBTB溶液オオカナダモ結果それぞれのBTB溶液の色は,どうなったか。別法の特徴この方法は,以前の教科書に掲載していたものである。削除した理由はですでに指摘した。しかし,この方法は視覚的にわかりやすく,指導もしやすいので別法とした。準備上の留意点オオカナダモは,緑色の元気なものを選ぶ。実験上の留意点方法1青色の溶液に息をふきこんで黄緑色にするが,このときあまり呼気をふきこみすぎると,オオカナダモを入れた試験管に光を当ててもなかなか色が戻らないことに注意。方法3反応が出るまで,~分待つが,その間に溶液の性質を調べるとよい。息をふきこんで黄緑色になった溶液を試験管に取り,沸騰石を入れて加熱して二酸化炭素を追い出すとどうなるか確認させる。注意事項この方法については前述のとおり,二酸化炭素の減少の原因が光合成だけではない可能性がある。そこで,次のような二酸化炭素をふきこんで溶液に,スプレー缶の酸素だたせる)と,溶液はなった。このことから,炭素が酸素の泡の中に取りになって溶液から出る。しかし,この色の変化入れて光合成をさせた後にると,ごく薄いものであるダモによって吸収される二が泡といっしょに出ていくいえる。このことから,こカナダモが二酸化炭素を吸変色したという説明のみで結果何も入れていない試験管変化しない。しかし,オオ験管の溶液の色は,解説オオカナダモを入れ液が青色に戻ったというこた二酸化炭素が植物に吸収所要時間50分DVDに掲載欠欠けする欠欠欠欠ここことなど,既習事項ここせるようせるせせるようせるようせるよううせるよようるようるよよにしたい。地球述式にしている。観測者の視点を明確にしたい場合は,に収録したワードデータに金星の軌道を加筆するなど加工するとよい。大きさを,金星が太陽に照らされている部分に注目し,作図によって投影する方法である。教科書の図,を参考に記述させるとよい。ようにしたい。特にここでは,金星の公転軌道などを用いた図を活用させることが,課題解決なことが理解できなかったなどの思考面の自己評価も必要である。また,実習の結果から,自探究の展開と指導について詳しく解説しています。第2部 詳 説教科書中の観察・実験について,安全にかかわる注意点や実験をうまく進めるコツなどを,丁寧に解説しています。別冊 観察・実験編探究学習の指導に特化した解説書です。探Qシートを活用した探Q実験の指導方法や,探Qシートのかきこみ例などを掲載しています。別冊 探Qサポート編生徒観察・実験の解説探Q実験のサポート探Qシートのかきこみ例指導のポイントが目準備方結別この方のであした。しく,指導準オオカ実方法1緑色にすすぎると当てても方法3その間にをふきこ管に取を追い出注の方安全に関する注意は赤で示しています。教科書にない別法も紹介しています。NEW78
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